-恐ろしやライフスタイル-
人には、これまで何度も起こっていることを運命のように感じることがあります。
そのことについてアドラーは、「あなたは運命が主人であるかのように言いますが、ちがいます。『あなた自身があなたの人生の主人のはずです。』と言いました。そして、「あなたはあなたの人生を動かしている法則をもっています。」とも言いました。この法則のことをアドラーはライフスタイル(Lebensstil)と名付けました。(一般によく使う、例えば「低炭素社会のライフスタイル」とかで使うライフスタイルとは違うことに注意してね)
日常的には、同じ事態に遭ってもある人は大きなダメージを受けますが、ある人は平気なことはよくありますね。アドラーのライフスタイル理論でいうと、「ライフスタイルが求めるものが違うからよ」ということになります。(アドラー派じゃない人はなんて言うのかな?ストレス耐性の差だ。とか、心に傷を負った過去の事実と相似しているからとかおっしゃるんでしょうね。)
このことについて日本の第一人者の野田俊作は、「個人が行こうとしているところは決まっています。思考も行動も感情も無意識もみんなが力を合わせて、いつも決まり切った目標を実現しようとしています。それは、ごく小さい時から今までずっと変わらず一貫して続いています。でも、そのことをその人は気づいていません。気づいていないので、まるで運命のようにあなたを支配します。」「そして、善くも悪くもいつもよく似た結末になるのです。」と言いました。
あらま、厳しいですね。
しかし、野田は、「アドラー心理学は厳しい現実を示しているようですが、実は極めて楽観的な心理学です。なぜなら、その人が自分のライフスタイルに気づいてさえいれば、そのライフスタイルがいわば自動的に発言する前に、ライフスタイルに従わない決断をすればいいだけなのです。逆に、従ってもいいんです。どちらでもその人の意志で決められます。」とも言いました。
ほうほう、では、アドラーが言う「自分の人生の主人」になるためには、自分のライフスタイルを知ることね。
また、野田は、「ふつう、日本人はライフスタイルが成し遂げようとしていること(仮想目標)は間違っていない(ただし目標は極端に高い)ことがほとんどなので、ライフスタイルに気付けなくても、同じ目標に到達できそうな他の手段(行動)を選択することでも問題は解決できます。」とも言っています。
おお、ということは悩んでいる人にとっても、やっぱりライフスタイルは肝なのね。よし、じゃ!と気の早い人ちょっと待った。
実はね、ライフスタイルはその人にとっていわば当たり前すぎて、困ったことに一人でまず気付けないのですよ。それに、そんなふうに言われると気付きたくないなとも思ってしまうんですよね。
こりゃ困った!
でもね、実際にライフスタイルに気付いてしまうと、みなさん笑っちゃうんですよ。え、そんなもの求めてたの私って!そりゃあんな結末になるわなって・・・
続く