New! / 3つのライフタスク 仕事、交友、愛(家族)

 現代のアドラー心理学では、仕事、交友、愛の3つに整理しています。国によっては、この他、宗教(スピリチュアル)のタスクを設定しなければならない場合もありますが、日本では概ねこの3つで大丈夫です。
 当のアドラーはライフタスクを社会、仕事、愛と言っていましたが、定義の仕方は同じです。実は名前にとらわれていると間違ってしまいます。論理学的な整理の仕方を理解すると明快です。

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 まず、”関係が永続するかしないか”で二つに分けます。
 関係が永続しない人とのタスクを「仕事のタスク」と名付けます。例えば、授業中の班活動です。授業が終わると班も解消されます。クラスの友達や職場の人もそうかもしれません。関係を続けたくなければ学校や職場を離れると関係は消滅します。私なんか、卒業以来まったく合ってない人はごまんといます。「あの時は悩んだけど、な~んだ、仕事の関係だったんだ。もっと上手くやればよかったな。」ということです。また、仲の悪い人、嫌いな人、攻撃をしてくる人、都合の悪い人もこの中に入ります。そういう人との関係を失敗すると、これはこれで、結構しんどいことになることが多々あります。カウンセリングのテーマによくなるのもこの人たちです。

  次に、関係が永続する人たちとのタスクです。永続するっていつまで?と聞きたくなりますが、ず~っとです。ずっとっていつまで?って、ず~っとです。どちらかの人生を閉じるまでかもしれません。
 その中で、関係が続くだけでなく、自分の運命がその人との関係に左右されてしまうのが家族(家族のタスク)です。ですから、成長期の子どもにとって家族との関係は重要です。

 三つめの「交友(友達)のタスク」は家族ほどは運命を左右しませんが、その人との関係を永続したいし相手もそう思っている人との関係です。一般には親友といいますね。親友と呼べる人はふつうそんなに多くありません。せいぜい数人でしょう。一人だって十分かもしれません。かつて、野田先生が、「ぼくの友達の定義は、貸したお金を返さなくてもこの人だったらいいやと思える人」とおっしゃっていたのを思いだします。小学校の低学年の子が、「友達100人いるよ。」と言うのは、発達段階から言って友達というより仕事のタスクの人たちです。
 このように、対人関係を三つに整理します。仕事・交友・愛という名前にとらわれないで、永続(時間)と運命の関係で整理ができているかがポイントです。
 カウンセリングでは、来談者がうまくいってないのはどのタスクかを意識します。みなさんも、今の悩みはどのタスクかが分かると先が見えてくるかもしれませんね。

 かつて野田俊作先生がこの話をする時、「論理学的に完全に3つに分類できるんですよ。これ以外はないんです。」と指を一本立ててニコニコしておいででした。論理的な世界は、野田先生にとって美しい世界だったんだろうな♪