アドラー心理学基本前提「全体論」 New!
みなさんがよく見聞きする精神分析学などの自然科学的心理学では、人間を心と体・理性と感情・意識と無意識などに分解し、その部分や関係について述べています。この向きを『要素論』といいます。例えば、不登校児が「本当は学校に行きたいのですが、行けないのです。」と心と体の矛盾やその葛藤が不登校の原因であると言います。要素論はふつう原因論とセットです。
これに対してアドラー心理学は『全体論』の立場をとっています。これは、まず人間を分割できない(in-devidual→indevidual=個人*)統一体と考え、すべての部分は協力し合ってその人全体を動かしていると考えます。上記の不登校児の言葉は言葉上では矛盾しているようでも、実は矛盾してないはずです。少々翻訳してみる必要がありますが、さしずめ「学校に行かなければならいことは分かっているけど、生きたくないんだ。」と解釈することができます。ここまでくると、心と体は、矛盾しているのではなく、(時には奇妙に)協力し合ってその個人を動かしているのが見えてきます。ここからなら、不登校さんにも上手く援助ができそうです。
個人のすべての部分は人生の目標(ライフスタイル)へ向かう運動の動線に沿って、その目標を実現するための手段に使用されるのです。この考え方を『使用の心理学』ともいいます。
*アドラー心理学は別名個人心理学ともいいます。”個人”はここからきています。