アドラーの言った「勇気」とは?

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 ずいぶん昔の話になるのですが、今から120年あまり前のことです。心理学がこの世に生まれようとしていたとき、フロイトはアドラー他を誘って「心理学水曜会」(心理学についての議論をする会)を作り、彼らは毎週水曜日に心理学についての話を始めるのですが、アドラーは当初からフロイトとは違う視点を持っていました。
 2人の違いを簡単に表すと、フロイトは「人間の行動にはそうする『原因』がある。」という基本的考え方から心理学を組み立てようとしたのに対し、アドラーは、「人間(彼は個人と言いました)の行動にはそうする『目的』がある。」という視点で考えていた点です。結局、この溝は埋まらずアドラーは1911年にフロイトとの共同研究を断念し、彼のもとを去り、個人心理学(アドラー心理学)の提唱を始めるのです。(ユングも1914年にフロイトと袂を分かち、独自の心理学を打ち立てていきます。)

 その後、第一次大戦から復員したアドラーは、主に市井の戦争孤児や親そして学校の教師に向けて活動を始めました。その活動の中で、「問題を起こす個人は勇気をくじかれている。」と表現しました。要するに、人間の問題は、悲惨な過去や感情、またはその人の属性(性格や障害など)によって起こるのではなく、人生に対する「勇気」がくじかれているからだと言ったのです。この違いは、医療や心理臨床に大きな差異を生み出しました。アドラー心理学によるカウンセリングが他とはずいぶんちがう雰囲気をもっているのはこのためです。
 また、アドラーの言葉を受け、アドレリアンカウンセリングでは個人の悩みや問題を解決するためのアドラー心理学的取り組みすべてを「勇気づけ」と呼んでいるのです。「勇気」はこういったところから来ています。

 したがって、当所の心理カウンセリングはもちろん、私たちの行動の一切はあなたに対する勇気づけです。もちろん、このホームページも勇気づけの一つの手段です。

 で、結局「勇気」って何なのと思いますよね。すみません。「勇気」は端的に伝えるのが難しいのです。言葉だけで伝えようとすると、高い確率で誤解が生じます。それで、かつて野田先生が「勇気はアドレリアンから直接学ぶしか手がありません。」おっしゃっていました。
 勇気のことをしっかりお知りたい方は、座談会やカウンセリングにどうぞお越しください。