アドラーが確信した3つのこと
アドラーは、「Der Sinn des Lebens(人生の意味とは?)、1933」の中で3つの確信について次のように述べています。
私の考えの基本は、「みんなそれぞれ違う」ということです。それぞれに異なる個人を、短い決まり切った言葉でまとめることはできません。(中略)
子どもは、完全な状態、優れた状態、進歩を目指して進んでいきます。その場合、一般的なものであれ人間的なものであれ、生まれつきの能力や環境と教育との影響が子どもの成長の土台になっているでしょう。これらの影響に遊びの経験が加わって、いわばその子独自の「ライフスタイル」を作り上げます。
私の確信はもう一つあります。子どものライフスタイルは決して完全で理想通りにはならないということです。(中略)常にせまりくる課題の解決のため創造を繰り返す子どもに、さらに課題が次から次と待ち構えていれば、子どもは「ライフスタイル」に従わざるを得なくなります。
さらに、もう一つの確信があります。人間の内面が示す本質的な多様性は、さまざまな学説を唱える学者が言う精神現象の因果関係、すなわち原因論では解釈できないということです。
多くの原因論心理学者が支持する基盤から離れたとき、私たちの手元にあるのは、「人類の避けられない問に対してどう行動するか」です。これが、人間を測る唯一の尺度なのです。すなわち、私たちに突きつけられている問い「社会、仕事、愛」の3つにどう向き合うかです。この3つは一つ目の問いでつながっています。問題や困難は、たまたま遭遇するものではなく、人間には避けられない課題なのです。それぞれは、人間社会、人類の発展、異性に対する関心から生じています。こうした課題を解くこのとが人間の運命であり、幸福に欠かせない要素なのです。
人間は全体の一部です。そのため、人間の価値も、それぞれが課題をどう解くかで決まります。数学の問題の答えを出すように考えれば良いのです。
[アドラーは3つめの確信の中で、社会、仕事、愛の3つライフタスク(人生の中でどうしても対処していかなければならないこと)を述べています。私たちの問題や悩みはこの中にあるということです。
アドラーはライフタスクを社会、仕事、愛に分けましたが、現代アドラー心理学は仕事、交友、愛(家族)の3つに分けて論じています。]