カウンセリングは、「相談、助言、指導」と訳されていますが、皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?
一般に、カウンセリングとは専門的な知識や技術を用い、対話を通して問題解決をする相談援助を意味します。
カウンセリングみらい・こどもみらいでは、心理及び発達に関する専門的なカウンセリングを行う相談室です。
ここでは、カウンセリングに関するいくつかのFQAを整理してみました。

[カウンセリング業界話] 
医療とカウンセリング
行政のカウンセリング
民間のカウンセリング

[資格について]      
カウンセラーの資格について

質問があればどうぞ♪







  

医療とカウンセリング

 心理的な問題について病院を受診しようと考えた時、多くは精神科をイメージします。最近、この名前が重いので心療内科としている病院が見られますが、お医者様は精神科医です。その他、子どもに関することは小児科の先生が看てくださいますが、その中でも発達に関することを専門にしている先生のところに行かれることをお勧めします。

 病院診療では、初診は、30~40分かけてお話を聞いていただけますが、再診では5~10分となることが多いようです。残念ながらこの時間では十分なカウンセリングはできません。
 医療の大きな特徴は薬の処方があります。お薬は病院しかいただけません。児童の場合は、お薬を服用しながら定期的に状況を確認する感じになります。お医者様の中には、お薬を嫌がる方には特にできることはありませんとおっしゃるかたもおいでます。お薬を服用すると気分や多動などの心身の状態が劇的に改善することがあります。しかし、体の感じが変わっても解決しない問題もあります。それが、問題を作り出している環境や対人関係そしてその人の生き方です。
 これは、お薬ではなかなか改善しません。この点がカウンセリングの守備範囲なのです。
 ですから、医療がカウンセリングがしっかりと協働することができれば、その人全体にアプローチし相乗的な結果が得られるのですが、このことはさまざまな問題があってうまくいってないのが日本の現状です。

 話はもどりますが、前述のようにお医者様は60分前後の時間を取れないので、カウンセリングは心理職が担当することになります。この場合、一部を除いて保険適用とならず、その場合は自由診療となり民間カウンセリングと同等の料金がかかります。小さい病院ですと心理職がいない場合もあります。

 余談ですが、医師法により医師にしかできないことがあります。その一つが病気や障害の診断です。カウンセラーは査定やアセスメントはできますが診断書はかけません。薬は診断に基づいてだされますので、カウンセラーは当然お薬の処方はできません。もし、必要である場合等にはお医者様を紹介しますので、カウンセリングと並行して受診することをお勧めいたします。
 もちろん、カウンセラーにしかできないことがあります。それは、時間をとってあなたの問題に向き合うことです。あなたの心の繊細な部分にやさしくアプローチすることです。これは、時間のないお医者様にはできないカウンセラーの大事な仕事です。
 そして、よいカウンセリングは未来をも改善できるのです。

 また、あなたやお子さんが、何らかのサービス(福祉サービス、特別支援教育、税金の控除等)を受けようと考えている時はお医者様の診断書が必須になります。このことは知っておかれるとよいと思います。子どもにその特性に合った教育を受けさせたい時も一種の権利の行使ですから、医師の診察・診断が必要ということになります。

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行政のカウンセリング

 国や地方行政が行っている心理相談や教育相談があります。
 教育相談の中には、長期間の継続したカウンセリングをしてくれるところもありますが、継続一貫した専門的なカウンセリングとなると限られてくるのが現状です。理由は後ほど述べます。
 教育相談の筆頭はスクールカウンセラーでしょう。学校に関すること(不登校、いじめ、発達問題等)の相談は、学校に配属されているスクールカウンセラーが力になってくれます。学校のおたより等で確認して、事前に予約すれば相談することができます。学校の中にいますので、学校の現状をよく知っていますので頼りになると思います。
 ただ、問題は勤務が限られていることです。今年は、コロナ禍で予算が削られ1年間に25回しか勤務しません。(去年は35回でした)なので、今年はそれぞれの学期ごとに、10日、10日、5日の勤務です。1日の勤務時間は大きい学校で1回6時間、小さい学校ですと1回2時間の勤務です。その勤務に合わせてカウンセリングを申し込むことになります。
 料金は無料ですが、曜日や時間が自由に選べない、緊急時に即応できない、学校の立場にたったカウンセリングになりやすい、卒業と同時に終了になるなどが問題でしょうか。
 また、スクールカウンセラーの場合、話した内容は校内や教育委員会で共有されることがありますので、そのことを予め承知しておくとよいと思います。

 スクールカウンセラーの他、学校には教育相談係の先生がおいでます。学校以外では、教育センター、子育て支援センター、保険センター、児童相談所等に有資格のカウンセラーがいる場合がありますが多くありません。教育関係の教育センターの担当者は、もともとは小中学校の先生が異動で数年間担当にないるいる先生方です。問題があれば、直接学校と話をしてくださるのが強みでしょうか。虐待問題には、児童相談所職員には強制の立ち入り調査権(臨検)があるのが大きな特徴ですが、この臨検を使うのがなかなか難しいのが現状のようです。児童相談所ではその他、児童に関するさまざまな相談に応じてくれます。  
 児童相談所の最大の特徴は、精神科医がおいでるということです。

 行政の機関でカウンセリング・相談を希望される時は、ホームページや市民だより等で連絡先を確認して電話等で予約を取り、カウンセリングを受けることになりますが、担当者がだれになるかは分かりません。いずれも、カウンセリング料金は無料です。

 これらの行政による相談サービスの問題は、年度や行政の都合で担当者が変わることがあるということです。それと、どうしても学校や行政の立場を完全に払拭することができないことです。
 学校のスクールカウンセラーの問題点は卒業と同時に修了となるのは先に述べましたが、進学先に同じカウンセラーがいる場合があります。その場合はラッキーです。行政は年度で人事異動があります。担当者が変わると、後任者に引き継ぎがされますが、カウンセリングの連続性は怪しくなります。

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民間のカウンセリング

 都会では増えてきましたが、地方ではまだまだ馴染みが少ないのが民間の相談機関です。民間には民間の良さがあります。

 さて、カウンセリングはカウンセラーとクライエント(来談者)がその両者の関係をもとにして、時間をかけながら(だいたい60分前後)、対話によって問題解決をはかっていこうとします。例えば、ストレス回避や勇気づけ、また、環境調整や関係調整、さらに、行動目標や思い込みの修正等、お薬(出ている場合)と合わせてその人全体を視野に解決を図っていきます。ですから、お医者様と比べるとかける時間が必然的に多くなります。

 カウンセラーを選ぶにあたってはこれらを考慮して、自分と相談したい問題に合ったカウンセラーを選択するのが、成功する鍵と言われていますが、何しろ一度会ってみないと分からないことです。
 カウンセラーは若くてフレッシュな人がいいのか、臨床経験が豊富な人がいいのか、男性か女性かでも迷うところです。ひたすら聞いてくれる人がいいのか、情報や考え方の整理を手伝ってくれる人がいいのか、的確に指示してくれる人がいいのかなど、あなたが何を望んでいるかに照らしてカウンセラーのタイプも重要な問題でしょう。実際に体験してみないと分からないことかもしれませんが、口コミを当たったり、カウンセラーの発信する情報をたぐって選択することからはじめるのも民間カウンセラーを選ぶポイントですね。

 気になるのが料金でしょうか。学校や行政の場合は利用者に代わって税金が払ってくれますが、民間のカウンセリングは受益者負担となります。カウンセラーに手渡る額はどちらも大きく変わりません。
 およそ1回45分~60分で6000~8000円、都心部などでは1万円前後が相場といえるでしょう。この金額より安いことにも、高いことにも理由があります。

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カウンセラーの資格について

 これまで、カウンセラーに関する問題はいくつかありました。その一つが、長い間カウンセラーの公的資格がなかったことです。医師免許が医師法に基づく資格です。カウンセラーはカウンセラーに関する法律がなかったので、できるかできないかは別にして、法的には誰でもカウンセリングができることになってしまいます。これが大きな問題でした。それでは相談する人にとってとても困りますね。これではダメだということで、まず大学の先生や学会が中心となって資格認定組織が創設され始めました。これが2000年の少し前のことです。
 資格認定組織が資格を発行することでカウンセラーの資質能力を担保したというわけです。臨床心理士が1988年、学校心理士が1997年、臨床発達心理士は2001年に認定が始まりました。資格認定組織は、基礎資格(先の3つは大学院修了)、資格試験制度、研修制度を備えており、認定時だけでなく認定後もその資質を担保しています。

 そんな中、国のスクールカウンセラー事業が始まった1995年(初めの2年は活用調査事業)が大きな転機になりました。その時、臨床心理士認定協会を創設した河合隼雄先生が文化庁長官の職にあったことも幸いし、スクールカウンセラーの資格要件に臨床心理士の名称が記載されたのです。(臨床心理士、精神科医師、大学教員が要件、その他資格の人はスクールカウンセラーに準じる者として県が判断し採用)これをきっかけに臨床心理士の認知が一気に広がりました。政治力がなかった他の資格はそれほど広がりませんでした。

 このように、資格の問題が叫ばれる中、国家資格の制定が絶えず模索され続けていました。法律を制定する際に問題になったのが、精神科医療権益との関係の問題です。最終的には、主治医がいる場合は医師の指示のもとで行うことが明記されることで決着しました。しかしこのことが、心理職の自立や収入面での問題を引き起こすことになります(後述)。
 2019年9月に第1回国家試験が実施され公認心理師がスタートしました。この国家資格が「公認心理師」です。この資格にはめずらしく厚生労働大臣と文部科学大臣の併記資格となり、医療界と教育界の双方を網羅する資格となりました。
 余談ですが、公認心理師は「師」を使っていますが、学校心理士や臨床心理士は「士」の字を使っていますよね。民間資格は○○士に対して、国家資格は、医師と同様の「師」を使って明確に区別したのです。この公認心理師または心理師という名称は法律により資格がない人が使うと詐称となり罰則が適用される厳しいものになりました。これを、名称独占と言います。

 公認心理師が生まれてからは、公的職務の要件が大きく変わりました。スクールカウンセラーの資格要件の筆頭が公認心理師となったり(資格要件は公認心理師、精神科医師、大学教員、臨床心理士。その他の資格は準じる者として採用)、病院の保健適用になるカウンセリングは公認心理師が行うことになったりしました。また、2020年の医療報酬改定が行われた際に小児特定疾患に対するカウンセリングが保健医療対象になりましたが、時間は1回20分以上で3回に1回は医師のカウンセリングが要件となっており、まだまだ公認心理師単独のカウンセリングは保険対象にならないのが現実です。
 整骨院での治療が保健適用になっていることに並んで、心理カウンセリングも保健適用になる日が来ること願っています。医療報酬改定は2年おきにされますので(次は2022年)、制度は少しずつ変化していくと思います。

 しかし、根深い問題もあります。日本の心理職の仕事や経済面での問題です。
 公認心理師資格は医師免許と同じく大学院修了が基礎資格にもかかわらず、心理職で生計を立てていこうとすると、一つの職場で安定して勤務できることは少なく、勤務体系も正規職は少なく基本的に臨時職になる人が多く、ボーナスも退職金もない場合もあり、一定の収入を得るためにはいくつかの職を兼務しなければならないのが心理職の実情です。勤務状況によってはワーキングプアーになってしまう人がいるなど、心理職を目指して励んでいる学生や心理職を目指そうとする中高生のために、希望ある職業となるために早急に環境を変える必要が叫ばれています。
 公認心理師をはじめ心理に携わっている人、これから目指す若者をどうぞ応援してください。 

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