人間を理解する時の基本原則 ①

 人間(子ども)の行動について理解しようとする場合や、人間の行動を良い方向へと変化させようとする場合は、「人間とはそもそもどんな特性を持っているのか」ということをまず知らなければなりません。
 人間の特性について、Don Dinkmeyerの「Encoureging Children to Learn」から拾ってみましょう。

① 自発性
 人間は、自ら進んで行動するものなのでしょうか?それとも、他人から指図されて行動するものでしょうか。まず、このことをはっきりさせることがとても重要です。
 われわれ人間は、もともとは自発的で、かなり自由に自分の行動を決められると考えられています。人間は外部からの影響や、遺伝的な要素だけで行動するのではありません。人間は自発的であり、しかも自分で判断ができる存在なのです。外部からの操作で動く操り人形ではありません。
 人間は意図をもっています。そして、その意図にそって一生懸命努力します。自分にとって意義のある行動をします。自分で決断を下し、自分で計画を立てることができます。
 Don Dinkmeyerは前書でこのように述べていますが、野田俊作はこのことを「自己決定」というキーワードでアドラー心理学の基本前提としてまとめました。このことは、大人だけでなく、幼児にもあてはまります。

② あらゆる行動には社会的な意味がある 
 「人間はそもそも社会的な生き物だ」と考えています。これは、人間は常に何らかのグループに所属し、その中で仲間とお互いに影響を与えたり与えられたりして生活してきた産物なのです
 人間は、集団の中にいて始めて、持てる力を発揮し自分の特質を伸ばすことができます。一人前の人間になるためには、その人が所属するグループのメンバーとして、うまくやっていけるかどうかがとても重要です。
 ですから、人間の行動を理解するには、行動そのものを見るのではなく、その行動がとられている周囲の状況も合わせて一緒に検討することが重要になってきます。

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